9/5(火)11時。羽田発のNY行きのボーイング777-300ER機が、離陸後にエンジントラブル発生により太平洋上で燃料の投棄を行った上で羽田空港に緊急着陸しました。
最初はバードストライクと説明がありましたが、タービンフィンが破損しておりその後の検分でバードストライクが原因ではないと断定されています。
整備不良だとすると本当に怖いことです。
航空機業界は小さなミスでも人命に関わる大事故が起こってしまう可能性があります。
航空業界は、ライト兄弟が1903年に世界で初めてエンジンのついた飛行機の有人飛行に成功して以来目覚ましい発展をしており、ライト兄弟の初フライトから50年後には世界中をジェット旅客機がビュンビュン飛び交う時代になりました。その頃は大きな航空機事故も多発して本当に多くの飛行機が墜落をしていたのだそうです。
そこで航空機業界で事故をなくすために随分と研究がなされました。そして行き着いたことはヒューマンエラー対策だったのだそうです。
過去の飛行機事故を調べていくとその8割がヒューマンエラーに起因していたとの結果が出ているのだそうです。
今日はヒューマンエラー対策の研修を受けて感動したことを簡単に書きたいと思います。
ANAビジネスソリューションの研修
ANAビジネスソリューションは、研修ビジネス・人材派遣ビジネスなどを行なっているANAホールディングスの子会社です。
今回受けた研修は「ヒューマンエラー対策」。講師は元ANAの機体整備本部に勤務30年の大御所。
その大御所は「ヒューマンエラーをゼロにすることはできない!」って言う。
エェ〜。飛行機乗るの怖いな〜。
しかし、「エラーの影響をコントロールすることは可能」と言われる。
それで飛行機の重大事故が少なくなったんだそうです。
ヒューマンエラー研修コンセプト
素晴らしい研修でした。さすがに人命を預かる整備マンが考え抜き実践してきたことからくる言葉にはすごい重みと説得力がありました。
研修のコンセプトにおいては、「誰の責任か」ではなく「誰が防止できたか」という考えに気づかせ、1人ひとりが何を実践すべきかについて考えるきっかけが提供されます。
・「ヒューマンエラーをゼロにすることは出来ない」
人はヒューマンエラーをなくすことは出来ません。しかし、「エラーの影響をコントロールすることは可能」。
・「エラーチェーン」
事故は1つのエラーのみが原因となり発生することは稀で、いくつものエラー(記憶違い、うっかりミスなど)がチェーンのように連鎖した結果として発生する。
・「事故防止への取組み」
「誰の責任か?」を問うのではなく「誰が防ぐことができたか?」と問うことが事故防止の基本である。
これが研修プログラムの骨子でとてもシンプルなのですが、奥が深いです。
事故防止への取り組みにおいて、マニュアルを整備することや、マニュアルを破らないことや、エラーの連鎖を断ち切ることや、仕事環境の影響のことや、エラーコントロールのことなど何を聞いても目から鱗でした。
細かに研修内容は書けませんが、素晴らしい内容なので興味ある方は是非受講してみたらいいのではないかと思います。
世界一の安全品質を守るANA
ヒューマンエラーは防げないと言っているANAの飛行機はどんな風に整備されているのか。
まずANAの機体整備本部の構成は以下のとおりです。
ANAには、本体に約3,300人、グループ全体では約5,000人の厳しい訓練を受けた整備士がいて、安全運航を堅持するために日夜活動をしています。
そして、その整備士のキャリア形成は以下の通りです。
ANAは整備専門会社9社と連携を深めANA機体整備本部と連携しメンテナンスの総合品質の世界一を目指しています。
機体整備の仕組みについて。このようなことを知るとちょっと安心になったりしますね。
ANAの機体工場見学に行ってみたくなりました。
まとめ
ANA整備本部においては、整備ミスは人事評価の減点要因にはしない方針なのだそうです。これを聞いた時にANAは本気で、「誰の責任か?」を問うのではなく「誰が防ぐことができたか?」と問うことを本当に実践しているのだと理解しました。
ANAビジネスソリューションの研修に感動したお話でした。