この記事はハッキリ言ってマニアックな記事なので、好きな人にはたまらないかもしれませんが、興味ない人には意味不明な記事になっとります。
2017年11月16日にJALは旅客サービスシステム(PSS)をAmadeus Altea(アマデウス アルテア)に変更しました。
どんなシステムなんでしょうね。
アマデウス アルテアは、GDSっていうやつです。GDSとはGlobal Distribution Systemの略。
GDSは、世界中の航空会社と旅行会社をオンラインでつなぎ航空座席を予約するシステムで、CRSとほぼ同義語だけどCRSの進化したっぽいシステムですね。CRSとはComputer Reservation Systemの略、若しくは Central Reservation Systemの略。
アマデウス アルテアの特徴は、PNRを航空会社や旅行代理店やUserが共有して、質の高いサービスを提供できるところ。PNRとはPassenger Name Recordの略で、航空会社や旅行業界で乗客の旅程とかの予約記録のことです。
JALのアマデウスアルテア導入効果
JALとしては、世界最先端で世界標準と言えるGDSを導入することで、システム開発は外注でき、コスト削減効果もあり、顧客満足度も上がり、アライアンス強化にもなる、素晴らしい導入効果があるのでしょう。
ANAは国際線にアマデウス アルテアを導入することで年間10億円以上のコスト削減が出来た様です。
JALだけでない旅行代理店の受ける大きなメリット
JALがアマデウス アルテアを自社システムとして利用することでフライトの予約をする旅行代理店にも大きなメリットがあります。それは世界195ヵ国で利用されている旅行代理店向け旅行予約システム「Amadeus Selling Platform Connect」や「Amadeus Selling Platform」がアマデウス アルテアと同一のシングルPNRで共有・管理している為、旅行代理店からの予約の変更依頼が航空会社のシステムに反映されていない様なトラブルが発生しません。JALと旅行代理店が同じホストを利用しシングルPNRで共有・管理することでトラブルは回避できます。
世界三大CRS
アマデウス(Amadeus):
アマデウスは、435の航空会社(60のLCCを含む)、29のレンタカー会社、51のクルーズ、280のホテルチェーン、87,000のホテル、200のツアーオペレーター、103の鉄道事業者、116旅行保険会社から予約可能なコンテンツアクセスを提供してるそうだ。
セーバー(SABRE):
65,000の旅行業者、400以上の航空会社、125,000以上のホテル、27のレンタカー業者、17のクルーズ会社、50以上の鉄道事業者が使ってるそうだ。
トラベルポート(Travelport):
48ヶ国1000以上のホテル、・・・
ちなみに、リジョナル(Regional)CRSには、INFINI(ANAが大株主)、able:(ANA国内線、AIRDO、ソラシドエア、スターフライヤーが利用)、AXESS(JAL10月15日まで)とかがある。
ANAは2015年4月より国際線予約システムをアマデウスアルテアに切り替えてる。
アマデウスの航空業界シェア
世界3大CRSの内、航空会社の予約管理システムを提供しているのはアマデウスとセーバー。多くのフルサービスキャリアが、この2社のどちらかを自社の予約システムとして採用してます。
でもアマデウスの普及率がすごいです。
航空アライアンス別アマデウス普及率
ワンワールドはJAL入ったらもっと普及率上がります。
【2019年5月14日追記】
2018年には座席数シェアでワンワールドは94%まで普及率が上がりました。
ワンワールドメンバーで、他に自社システムとして「アルテア」を利用している航空会社は、
・ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)
・カンタス航空(QF)
・ロイヤル・ヨルダン航空(RJ)
・スリランカ航空(UL)
・カタール航空(QR)
・イベリア航空(IB)
・フィンエアー(AY)
・キャセイパシフィック航空(CX)
アマデウス アルテアは、シングルPNRがコンセプトで、どの航空会社や旅行代理店などに導入されている端末(システム)から見ても一つの情報を見ることができるんですね。一つのデータセンターにあるPNRをみんなでいじる感じですね。
JALにアマデウス アルテマが導入されれば、JALからBAのPNRが見れるはず、、、ですが、何かしらシールドは設けるでしょうからそうは簡単ではないとは思います。
でもBAで発券したJAL便の特典航空券であれば、BAからもJALからも一つのPNRを覗けて、どちらからも操作ができるかもしれません(例えば座席指定とか)。
シングルPNRを取り巻く環境イメージ図
アマデウスのシステム構成
アマデウス アルテアの航空会社向けの航空予約・顧客管理システムなのですが、4つのシステムから構成されています。
⑴ アマデウス アルテア予約(Altéa Reservation):
予約、価格設定、チケット管理を単一のインターフェースを介してを提供する。
⑵ アマデウス アルテアインベントリ(Altéa Inventory):
フライト・バイ・フライト単位でスケジュールや座席容量管理を提供する。
⑶ アマデウス アルテア出発コントロール(Altéa Departure Control):
出発制御システムのソフトウェアパッケージ。
⑷ アマデウス アルテア電子商取引(Altéa e-commerce):
航空会社の電子商取引の販売とサポートのためのソフトウェアスイート。
今回JALは、⑴〜⑶を導入する様です。これらを一纏めにしてアマデウス アルテア スイート(Amadeus Altea Suite)と言います。スイートはスイートルームのスイートと同じ意味ですね(suite=一揃い、一組)。
導入費用はよくわからないですが数百億円はかかるかな。端末代とかもすごいだろうな。ランニングコストは下がって毎年十億円以上の効果があるのではないかなと思われる。
アマデウス アルテア導入によるサービス変更点
詳細は、JAL公式ホームページの説明を参照してください。
2017年11月16日(木)の旅客サービスシステムの刷新について
この記事はアマデウス アルテア導入の影響を書くことが主題でなくって、アマデウス アルテアって何者って記事なのでご容赦。
JAL国内線変更点
でも国内線の変更点だけでも書いときますか。使いにくくなるなって思う点が多いです。
国内線航空券の有効期限 ○
予約変更可能な国内線航空券の有効期限が90日から1年間に変更されます。JALビジネスきっぷは、第一区間搭乗日を含み91日間に変更、特別往復割引は第一搭乗日を含み60日間の有効期間が設定される。
株主割引は割引券の有効期限と航空券の有効期限の早い方が有効期間になる。
ファーストクラス・クラスJ運賃の事前支払い ×
ファーストクラス・クラスJ予約時に普通席部分のみ支払いを行い、差額を別に支払う事が可能でしたが、今後は購入時に全額まとめて支払う事しかできなくなります。
購入後のクラス変更不可 ×
割引運賃の購入後でも同一日、同一区間、同一便であれば搭乗クラスの変更が可能でしたが、今後は変更するためには一度払戻しを行ってから再度購入する事になります。
クレジットカード認証 ×
搭乗手続きや払戻、領収書・搭乗証明書・eチケットの控えなどの再発行にクレジットカード認証が出来なくなります。JALカードの場合はJMBマイレージ番号が記載されているので問題はありません。スカイトラベラーカードで買いにくい。
キャンセル待ちの取扱い × ○
キャンセル待ちが可能な運賃は、普通運賃・往復割引・身体障がい者割引、JALビジネスきっぷ、eビジネス6、介護帰省割引、特継乗継割引、離島割引、特別往復割引となります。株主優待割引や特便などはキャンセル待ちできなくなる。キャンセル待ちは2017年11月16日より搭乗便の24時間前まで受付されます。
払い戻し時のe-JALポイントの取扱い ○
2017年11月16日(木)以降にe JALポイントでご購入された航空券は、e JALポイント充当分も払い戻しが可能
JALの不覚
JALは今回のシステム更新で国際線と国内線の両方をアマデウス アルテアへ変更することとしたが、実は国内線の料金体系が複雑すぎて最初はシンプルなアマデウス アルテアには載せきれない状況にあった。追加改修により対応することとなったが、相当な設備投資負担であったと思われる。まぁ大した不覚ではないけれど当初予算を大幅に超過したのは仕方ないと思われる。
ANAはJALよりも早くにアマデウス アルテアを導入したものの複雑な料金体系の国内線についてはアマデウス アルテアを使わずに別システムで運用している。
国際線と違い国内線はできるだけ運賃競争にならないようにしながらも収益を最大化させるために特別なレベニューマネジメントが導入されている。レベニューマネジメントとはホテル業者や航空会社が繁忙期や閑散期を考慮しながら空室率、空席率をコントロールし安定した収入が得られるようにマネジメントする管理手法のこと。
ホテルのレベニューマネジメントについて以下の記事の中の【上級編】のところに書いているので参考にされたし。
アマデウスのPNRを利用するアプリ
以下の記事でも利用しているCheck My Trip。
Check My Tripは、モバイル旅程管理アプリです。使うととっても便利ですよ。
このCheck My Trip がアマデウス製なんです。よってシングルPNRを見に行くんですよ。
BAのAviosでJALの特典航空券を発券した際の座席指定に利用しているのですが、JALがアマデウス アルテアを導入するとCheck My Tripが必要なくなるのではないかと思います。
Check My Tripから座席変更とか色々できるといいのですが、このアプリは参照権限しか持たせてもらえてませんからね。シングルPNRの操作権限を付与してもらえると超使えるアプリになるのですが^^;
【アマデウスアルテア導入後日追記】
アマデウス アルテア導入されたらアプリ必要なくなった。もう直接グリグリできるようになったぞよ〜。さすがアマデウス アルテア効果。
まとめ
JALが旅客サービスシステム(PSS)を変更することを発表したのは2014年7月31日。
あれから3年。ようやくの導入です。
JALのプレスリリース
より良いシステム。便利なPNR。楽しみですね。
(2017.11.7 first draft , 2019.5.14 revised)